昭和軒@中野区野方
(公開: 2014年08月11日)
それは、ある夏のこと。
俺は中野駅周辺で飲んで、帰っている時に、ふと入った店での話。
俺は心も身体も疲れ果てていた。
何も変わらない毎日。
そんな疲れを紛らわすため、酒をあおり、泥酔していた。
こんな人生なんて•••
誰に言うでもなく、ただ立ち込めた思いをしまい込み、ベタつくようなむし暑い夜道を一人歩いていた。
外は暗く深夜2時を回ろうとしていた。
車通りも少なく、ポツンポツンと等間隔で先の道を照らしている。
ふと先を見ると陸橋がある。
それは、暗い夜道をよりいっそう不気味に映し出す。
その陸橋の横に、小さな明かりが見える。
あんなとこに?こんな時間に?
なんだろう?
特に深くは考えずに近づいてみた。
「昭和軒」
こんなとこに?らーめん屋?
たまに、昼間に通る道なのに、こんな店は知らない。
中が見えないような窓づくり。
なぜ、俺は入ってしまったんだろう?
この疲れ果てた人生に嫌気がさしたのか?
酒を飲みすぎたのか?
その扉を開けてしまった。
扉の先には老婆が1人出迎えてくれた。70歳は越えているだろうか。
適当にテーブルにすわる。
そこには黒猫の姿。
いや、1匹ではない。
様々、疑問はあるが、
とりあえず、らーめんを注文。
となりの小さな座敷を横目で見てみる。
仏壇だ。
割と大きい。
店内は、店内とは思えぬ状態。
本当にらーめんが出るのか気になりだした。
そわそわしていると、らーめんが出てくる。
割と普通の見た目。
考えすぎると、止まらなくなる。
冷静に、猫がいっぱい店内にいるけど、毛とかは大丈夫か?
いや、今はそんなことを考えちゃいけない。
目の前のらーめんに集中するのだ!
でも、
猫のエサとか、店内に堂々と置いてあるけど、毎回手を洗っているのか?
いや、ダメだ。
今はらーめん!
その一点に集中すべし!
スープを飲んだ。
割と普通だ。
麺も頂く!
ちょっと柔らかい気はするが、全然普通だ。
ミステリアスな店内に反して、味は普通に食べれるし、まずくない!
残念ながら、酒が入ってるのと周りの雰囲気に圧倒されて、それ以上の味に関しては記憶がない。
ただひたすら、仏壇の横で猫と一緒にらーめんをすする。
しかも1人で•••
結果、お婆さんもいい人。優しかった。
猫カフェならぬ、猫らーと思えばいいであろう。
あまり、気にしない人ならぜひ、行ってみて頂きたい。
そして、お婆さんには頑張って頂きたい。
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